第14話
asami「sayuと何かあったの?」
ken「なんで・・・」
asami「sayu朝から元気無かったからネ」
ken「そうだったの」
asami「ken君なら知っていると思ったのにな」
   「今日はずっとsayuの応援だし・・・」
ken「この前sayuと約束したから・・・」
asami「渋谷で、そうなんだ」
ken「でも・・・本当はasamiの応援がしたいけど・・・」
asami「またまた」
ken「本当だってば」
asami「そう、でもken君にはsayuがいるしね」
   「sayu、ken君の事慕っているし悪いから・・・」
ちょうど、その時ラストの曲のイントロがうまい具合に流れ出した。
そう、ウサチャンピースの大フィーバーの可能性を秘めた「ピースオブワールド」だ。
kenは、わずかな奇跡を信じ約束どおり最後までsayuの応援を必死に頑張ったが、結局スマイル満面のウサチャンピースを見ることができなかった。そんなkenの姿をみかねてかasamiは、退場するときにkenの前で手話の暗号で「今・日・は・有・難・う・ね・」と送りなんとウサチャンピースをkenにしたのだ。kenは、死ぬほど嬉しかったがでも、どこかでsayuの事が気になり素直に喜べないというのが本音だった。ライブも終了し、kenは吹雪の中東京に帰る夜行高速バスのターミナルで寒い中待っていると、なんと誰かが現れたのだった。それは・・・

第13話
ついにライブがスタートした。kenは、2列目のセンターという非常においしい席だった。会場の造り的にステージとの距離もさほどなく、手を伸ばせば届きそうなくらいだ。この位置から観るライブにkenは、こんなに見えすぎてしまって良いのだろうかと最初は戸惑っていた。kenは、sayuとの約束通りsayuの応援を頑張るのだった。しかし、真正面に来ても何の反応もなくkenは不思議に思う。その時kenは、昨日の車中に一瞬でもasamiの応援をしたいと思った事をエスパーsayuにバレたのではないかと思う。また、kenは心の中で謝るが今日のsayuはいっこうに全くの反応がない。kenはだんだんとこんなに美味しい席で観ているのに窮屈な気持ちになってきた。そんなライブの中盤に差し掛かった時にasamiがkenの存在に気づき手を振ってきた。kenは、一体どういったつもりなのかとっても気になる。今すぐにでもasamiの応援をしたいと強く思うのではあったが、kenは今日はsayuとの約束があるから必死にこらえるのであった。asamiは、とっても心の優しい人であるがゆえkenとsayuとの重苦しい空気を感じ取ったのである。MCの時にasamiがkanの真正面に来て、手話で話しかけてきた。以前kenは、FANレターに手話に興味があると書いていたのだ。そして、MCの間にkenとasamiの二人は暗号での会話が始まったのである。

第12話
sayuとの夢のようなデートから数日がたち、福井でのライブ前日になりました。kenは、今でもあの日のことが夢のように思えてなりません。kenは、夜行高速バスで福井に向かう車中で、sayuオンリー応援の約束をしたことに少し後悔している自分がいました。やはり、今でも一番好きなのはasamiだと・・・。早朝福井に到着すると、まさに白銀の世界。kenは、その大雪の中歩いて会場に向かうのでした。一体、何を思いながら・・・。また、時を同じくしてsayuは、羽田空港にいました。会場へは、小松空港まで朝一番の便で向かう予定になっていたからです。そこで、大事件です。空港で、sayuが歩いていると空上から植木鉢が落ちてきたのです。危機一髪助かりましたが、本当に危ないところでした。
マネージャー「大丈夫!危なかったね」
sayu「は・い・!」
マネージャー「気をつけたほうがいいよ。最近、この前sayuが変な男と一緒に渋谷を歩いているのを見た。どうなっているんだ。爆破してやる、と言った脅しの電話がすごいんだ」
sayu「そうなんですか?」
マネージャー「渋谷には行ったのか?」
sayu「は・い・!」
マネージャー「その人とは当分接触しないほうがいい。お互いの為にもそれがいい」
sayu「どうしてですか?今日はわざわざ私の為だけに応援に来ているんですよ・・・遠くから・・・」
マネージャー「今日のライブ、その人の事は絶対に無視しなさい」
sayu「絶対嫌です」
マネージャー「言うことが聞けなければ何がおこるか分からないし危険なのでライブには出さん、どうする?」
sayuは、渋々分かりましたと承諾するのであった。
そうして、二人の心は迷宮のごとく迷いながらライブがスタートするのでした。

第11話
二人は、kenの行きつけの店である牛角食堂に到着した。普段は、結構混み合っているがその日はスムーズに店に入ることが出来た。席に案内され店員が注文を聞きにきた。
ken「いつもので・・・」
店員「はい、」
ken「sayuは?」
sayu「私も一緒で・・・」
ken「いいの」
sayu「うん」「ken君と同じがいいの・・・」
いつものとは、石焼ビビンバとミニカレーライスだ。店員が去ると
sayu「今のソニンさんに似てるよね」
ken「そうかな・・・」
sayu「絶対似てるよ、可愛いしね」
ken「でもsayuには冥王星まで行っても勝てないよ」
sayu「うれしい!HAPPY−−」
会話が盛り上がってきた所で、注文したものが届いた。
ken「sayuどう」
sayu「とってもおいしい!」
ken「でしょ・・・」
sayuにも気にいってもらいkenは満足に感じた。
sayu「今度はいつライブ来るの?」
ken「次は福井かな・・・」
sayu「じゃ、すぐまた逢えるね」
ken「そうだね、福井は2列目だしsayuの応援頑張るよ」
sayu「本当にいいの、asamiちゃんでなくて・・・」
ken「モチノロン」
sayu「約・束・だよ」
そうして、食事も終えkenの夢のような怒涛の一日は終わったのであった。

第10話
kenとsayuは、隣にあるボーリング場に到着した。しかし、あいにく満員で40分ほどの待ちだ。待っている間、二人はくだらない会話で時間を潰すのだった。やっと、自分たちの番が来てレーンに向かう。
ken「プロ級の腕だから・・・」
sayu「私も・・・」
kenの一投目、なんといきなりガーターだ。
ken「練習、練習、」
sayu「うそだー」
kenは、休み明けに加えて先ほどのasamiの一言がやはり少しは気になって集中力に欠けていた。だんだんと、調子を上げては来たが結局1ゲーム目は88しかいかなかった。
ken「調子悪いな、最悪100も行かないよ。自分の誕生日じゃん・・・」
sayu「私なんか22だよ」「ウサチャンピース〜」「ken君、誕生日8月8日なんだ・・・」
ken「残り2ゲームだから、ハンデ180あげるね」「それに負けたら食事ごちそうするよ」
sayu「いいの、私を甘く見て・・・」
ken「自分もこんなもんじゃないしね」
そんなこんなで、2ゲーム目も終了しkenはまたしても100を超える事が出来なかった。かたやsayuもあまり調子が良くなく散々だ。
sayu「やっぱり、難しいね」
ken「本当、今日はさっぱりだね」
sayu「asamiちゃんの事があったから、プロ級だって言っていたのにね」
ken「そんな事ないけど・・・」「ラストが勝負」
kenは、とうとう秘密兵器のジャージに変身するのであった。
sayu「かわいいーー!」
ken「まあね、」
  「気持ちを込めて真っ直ぐ投げるといいよ」
と、sayuにアドバイスをした。すると、3ゲーム目sayuは連続ストライクと一気に調子を上げたのである。
sayu「わーい!やったー!またストライクだよ」
sayuは、無邪気に騒ぐのであった。そして、3ゲーム目も終了し結果はなんとsayuの逆転1ピン差勝ちだった。
sayu「やったー、やったー、ken君に勝ったもんね。食事・食事・・・」
ken「ショック、めっちゃ悔しい」
sayu「でも有難うね」と小声で呟くのであった。
sayuは、てっきりkenがわざと劇的に1ピン差で逆転負けをしたのだと思い込んでいるのだった。kenは、真剣に勝負したというのに・・・。
ken「約束だから、食事ごちそうするよ」
sayuは「うん」とうなずき、いつもの行きつけの店に向かったのである。

第9話
kenは、大FANのasamiと二人きりという状態に放心状態で固まり、長い沈黙が流れる。すると、asamiから声をかけて来た。
asami「おもしろい人ですね(笑)」
ken「そうですか・・・」
asami「はい!」
ken「実は、めちゃめちゃasamiさんの大FANなんです」
asami「さっきsayuちゃんが言っていましたよ」
ken「本当に大FANで・・・」「いつもライブではasamiさんに気がついてもらえるように一生懸命頑張って応援しているし、ファンレターやプレゼントも出しているし・・・」
asami「やっぱり、面白いですね!いつも・・・」
asamiは、いつも私のことを応援してくれていて何かと目立つkenの事を覚えていたのだ。
少しずつ緊張がほぐれ会話が弾んできた。
ken「asamiさんはお芋が好きなんですよね?」
asami「はい!じゅがいも・やきいも・さつまいも・ほしいも、そしてかぼちゃ・・・」
ken「かぼちゃはお芋じゃないですよね?」
asami「うそーー」「お芋ですって」
思わぬ所からトラブルが起きた。だんだんと口論がエスカレートしかけた時にエンジェルsayuが電話から戻ってきた。
sayu「いいなー!二人して盛り上がっちゃって・・・」「私も仲間に入れてよ」
sayuの登場で、場の雰囲気は回復した。
asami「sayuかぼちゃはお芋だよね」
sayu「違うよ」
asami「ショック・・・私だけ知らなかった・・・お芋だと思っていたのに・・・」
asamiは、落ち込みながら呟いた。
すると、今度はasamiの携帯が鳴った。相手は、初日のライブを体調不良で欠席したmakoだった。しかし、asamiは彼氏だと嘘をつくのであった。
sayu「いいなーasamiチャン、ラブラブで・・・」
kenは、展望台の上から落とされ粉々になった気分になった。
asami「そろそろ帰るね、お邪魔(ルシェ)みたいだし、彼も待ってるからね」
そう言って、asamiは帰っていった。店をでたasamiは一言、「今の演技完璧です」と虚しく言った。kenは、asamiの一言で落ち込んでいたがsayuが気をつかっているのを見て何も無かったかのように振舞うのである。
ken「そろそろ、ボーリングに行く?」
sayu「うん!」
満面の笑顔で、ウサチャンピースをしながら答えるsayuをみて心が安らぎ元気を取り戻したのであった。

第8話
今日は、sayuとの約束のデートの日だ。kenは、かなり緊張しながら待ち合わせの15分前には渋谷のドトールに着いていた。いつものように注文はパスして水を持って2階に上がる。しばらく待つと、「お待たせ!」sayuの明るい声が聞こえたので、kenは振り向くと一瞬自分の目を疑いたくなるような光景が映ったのである。あまりの衝撃で心臓が止まり口から出そうになる程だった。なんと、sayuと一緒にasamiも来ていたのだ。kenは思わず「聞いてないよーー」と叫びそうになる。
sayu「asamiチャンも連れてきちゃった」
  「だってken君asamiチャンの大FANだもんね」
asami「こんにちは!」
kenは、大パニックに陥り何が何だか分からなくなって声も出ない。
sayuとasamiも席に着いて、いかにも異様な空間がそこには出来ていた。
sayu「ken君は水飲んでいるの?」
ken「昨日のライブでグッズのバッジ付ペットポトルの水たくさん買ったから・・・」
sayu「もちろん私のバッジが欲しくてよね」
kenは、本当は隣にいるasamiのが欲しいとは言えずついつい「うん」と答えたのである。
sayu「いったい何個買ったの?」
ken「5個」
sayu「私の出た?」
kenは、本当はsayuのバッジを当てていたが実はasamiの物とトレードしていた。
ken「出なかったよ」と嘘をつく。
sayu「私の愛のパワーがたらなかったのかな・・・」と悲しそうな声でつぶやいた。
それを聞いたkenは、少し胸が痛んだ。実際は大フィーバーだったから・・・
ken「でも、この水飲むと何でも願いが叶うらしいよ」
sayu「本当ー」「私も飲みたいー」と元気になりはしゃぐsayuを見て無邪気で可愛いなと思ったのである。
すると、sayuの携帯に一本の電話が入る。事務所からだった。
sayu「ちょっと待っててね」と席をはずし、kenとasamiのツーショットが出来上がったのである。kenがずっと夢見ていた時が今・・・