第15話
バスを待っているkenの前に現れたのはasamiだった。asamiはアルコールで唄ったセーラー服の衣装のまま大急ぎで、息を切らしながらやって来た。
asami「間に合ってよかった・・・」
ken「どうしたの?」
asami「一つどうしても伝えておきたかったの」
ken「何?」ドキドキしながら聞いた。
asami「sayuの事」
ken「sayuの事か・・・」
asami「ライブが終わって楽屋でsayuに話を聞いたの。そしたら今日の朝空港で、誰かに狙われて事故になりかけ、危ないからken君の事は無視しなさいとマネージャーに言われたと・・・」
ken「何で自分が関係あるの?」
asami「渋谷のデートが目撃されたみたい」
「でも、開演の5秒前まで必死に抵抗していたけど結局権力に負けたと、sayu相当凹んでいたの」「せっかくken君が頑張って私の事応援してくれていたのにと・・・」
ken「そうだったんだ、それをわざわざ言いに来てくれたの」
asami「うん」
kenは、その事を聞きとても心が揺れた。すると、asamiが、「クシュン」とくしゃみをした。よく考えてみればasamiはアンコールの衣装のセーラー服姿だった。
ken「寒くない?」
asami「さっきまでは、ここまで必死に走ってきたから大丈夫だったけどね」
ken「会場から?」
asami「うん、私1500メートル走得意だから・・・でも、去年のスポフェスでは負けちゃったけどね、エヘ(笑)」
ken「これ良かったら・・・」kenは、自分の着ていたコートを差し出した。
asami「大丈夫、こう見えても私北海道出身だし寒いのも慣れているから・・・」
でも、さすがに薄着とあって震えているのが分かる。
ken「月曜日は、カッタスのフットサルの試合もあるから風邪をひいたら大変だよ」
asami「でも、ken君のコートを借りたらsayuに悪いし・・・」
asamiは、なんとも純粋で心が優しいのだろうか。そうこうしている間にkenの乗るバスが入線してきた。バスに乗り込むと窓を開け
ken「月曜日は、カッタスのフットサルの試合asamiだけの応援をしに行くから、頑張って!」と、言いコートをasamiに投げ渡したのである。asamiは、「アリガトウ」と微笑むのであった。そして、運命の試合当日の月曜日を迎えた。